社会医療法人とは(制度の説明)
社会医療法人は、 ●医療提供体制に関して都道府県や市町村、公的病院の機能を代替するものとして ●公的医療機関と並ぶ6事業(救急医療、災害時における医療、新興感染症発生・まん延時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療(小児救急医療を含む))を担う主体として ●国・都道府県・市町村と並ぶ「地域医療支援病院」の開設主体として 位置づけられている医療法人制度です。 |
※参考資料:
「社会医療法人の認定について」の一部改正について(医政発0330第8号、令和6年3月30日)
第6回「医業経営の非営利性等に関する検討会」(2005年3月8日)資料3-1
第1回「医療法人の事業展開等に関する検討会」(2013年11月6日)資料3
「公益性の高い医療※」については、政策医療と言われ、これまで国・都道府県や市町村の自治体病院等が中心に行なっていました。
しかし近年、自治体病院等は、医師の偏在、人件費等の高コスト体質などの影響で赤字体質となることが多く、多額の一般会計繰入金等の補助金・財政措置が必要な状態となっております。人口減少社会の下、将来、財政が厳しくなり、地方交付金をどう圧縮していくのかということになった際、多額の税金を投入しないと回らない自治体病院等に依存していれば、地域社会の医療基盤を維持することが困難になってきました。また、官民の役割分担を前提としてきた医療のあり方そのものを見直す必要も出てきました。
※「公益性の高い医療(活動)」 (「『公益性』に関する考え方の整理と医療計画による位置づけ」より) |
○休日診療、夜間診療等の救急医療 |
そこで医療提供体制に関し、自治体病院等の機能を代替する目的で、、医療法人のノウハウを活かし、医療法人が地域医療の主役となり、より効率的に取り組めると考え、国により創設されたのが「社会医療法人」(英訳:Social medical corporation)です。
社会医療法人 は、医療法人のノウハウを生かして、通常の医療はもとより公益性の高い医療にも効率的に取り組んでおり、2008年4月の認定開始以来、2024年4月1日現在の認定数は 365法人 が正式認可を受け、地域医療を支えております。
社会医療法人の概要 |
○公益性の高い医療を担うことができる |
すでに私的二次救急医療機関への助成に係る特別交付税の算定概要についてなどにも示されているように平成22年度に創設された特別交付税措置においても社会医療法人が設置・運営する病院が対象拡充されています。
さらに「公益性の高い医療」に伴うロスをカバーできるようにするため、下表のような社会福祉事業に加え、収益業務も認める※ほか、自立型経営を持続できるよう公募債(社会医療法人債)も発行できるようになります。
※厚生労働大臣の定める社会医療法人が行うことができる収益業務はこちらをご参照下さい。
なお、収益業務で得た収益は本来業務(医療提供行為)へ再投資されます。
第1種社会福祉事業 | 第2種社会福祉事業 | |
社会医療法人 | ○ケアハウスの設置・運営 ○知的障害者施設など児童入所施設の設置・運営など ○身体障害者療護施設など障害者入所施設の設置・運営 ※社会福祉法人限定の特別養護老人ホーム等は対象外 |
○保育所など通所施設の設置運営など ○デイサービスセンターなど適所施設の設置・運営など |
医療法人 | ○ケアハウスの設置・運営 |
また、国有財産の売却だけでなく定期借地権を利用した新規の貸付などにおいても、社会医療法人が法人税法 別表第二で規定されている「公益法人等」の区分に該当し、「公益性が高い」法人と判断されて、国有財産地方審議会において認められるようになってきました。
(※残念ながら、現在のところ全ての社会医療法人が全ての国有財産地方審議会において全ての例で必ず認められる事にはなっておりません。)
この仕組みにより、社会医療法人も安心して公益性の高い医療に取り組むことができ、地域の医療が守られます。
なお、社会医療法人の認定作業については、要件となる救急医療等確保事業を記載した医療計画の実施が2008年4月からとなったことや、公益法人改革が内閣府で検討中であったことから、事実上、2008年4月1日以降に都道府県の認定が始まりました。
>関連リンク
厚生労働省 医療法人・医業経営のホームページ
社会医療法人の認定について(上記ページ内)
社会医療法人への移行を考えた場合(ステップ&チェック表)